こんにちは、たまごろうです。
最近、子育て関連で注目が集まってきている「非認知能力」というワードをご存知でしょうか?
50から70パーセントが遺伝とされている、IQなどの数値で測れる知能(ワーキングメモリや処理速度、言語理解、知覚推移など)ではなく、非認知能力は、やり抜く力、好奇心、自制心、楽観的なものの見方、誠実さといった気質、家庭や学校環境で備わる「生きる力」の様なもので、その中の一つが「やり抜く力」=「GRIT(グリット)」と呼ばれています。
事実、個別指導で様々な生徒を見てきた私の経験上、スポーツなどの習い事を継続しながらも難関校に短期間の勉強で受験を突破していく生徒に共通するポイントとして、やり抜く力が高いということがいえます。
[すごい生徒の共通ポイント]
・どんなに部活や習い事が忙しくても、多くの宿題をきっちりこなしてくる。
・授業中の大事なところを聞き逃さないが、休憩中は思いっきり休憩をするというメリハリがついている
まだ非認知能力などが流行っていない時代、そんなすごい生徒の中の一人の女の子の話です。
その子のおじいさんは1代で会社を興し、経営されていて、家訓は「自分で決めたことはやり遂げろ」だそうです。(特にすごいお金持ち、というわけではなく、少し裕福な、一般的な家庭だったと思います。)
今から思えば、グリットそのものですよね!
その家訓を守っているからなのか、ご兄弟皆、成績も優秀でありながら、スポーツに武芸に趣味にと全力で打ち込んで成績を残していました。
もちろん、中学受験も約1年半で、スポーツを続けながら偏差値60の学校を合格。
その頃私の子供はまだ赤ちゃんだったので、「こんな風に育ってほしいなぁ」と、心から思ったのをよく覚えています。
というわけで、前置きが長くなりましたが、今回は、ちょっとシリアス。
「やり抜く力」=「GRIT(グリット)」を高めるにはどの様にすればいいのか、または幼児教育が必要かどうかと、私の個人的な意見もまとめました。
子育てで悩まれている親御さんにヒントとなる内容になっていますので、是非読んでいってくださいませませ〜!
①重要な要素は、環境。
ポール・タフの著書、「成功する子、失敗する子」や、「HELPING CHILDREN〜私たちは子供に何ができるのか」という子育て研究の本の中に、小さい頃、特に6歳くらいまでに育った環境がその子の将来にどのような影響があるかという研究結果内容が書かれています。
子供たちのやり抜く力やレジリエンスや自制心を高めたいと思うなら、最初に働きかけるべき場所は、子供自身ではない。環境なのである。
『私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む (Japanese Edition)』
環境による影響のなかで子供の発達を最も左右するのは、ストレスなのだ。
(ポール・タフ著)
特にこの本では、家庭環境に虐待などの逆境を抱える子供への、外部の適切なプログラムについて多く述べられていました。私の子育て人生の中でもとても参考になる本です。

ストレスの中でも「ネグレクトによる心的外傷」は後々にも大きく影響してしまうみたいです。
②グリットはこのように培われる
著書によると、最初の3年間にたっぷりと温かい声掛けなどの接することや、幼児期のイヤイヤ期などの複雑な時期でも、周りの大人が冷静に、正しく愛情をかけて接することで、感情の自制能力が備わり、勉強に粘り強く取り組む力や人と付き合う能力、やる気や好奇心を起こす力につながります。
この土台作りは、その後の「読み」「書き」「計算」を行う際の集中力や認識力に大きく影響します。
また、幼児期の教育として、知識を詰め込むよりも、遊びを通して社会性や情動性を育てる方が生涯成功につながりやすいという結果も明らかとなってきているのです。

遊び中心の保育園と知識中心の保育園では、知的学習達成の成果に大きな違いはなく、知識中心の方がむしろ、将来不正行為や犯罪者になる可能性が高いという結果もあるのじゃ。

うちの子、もうすでに幼少期を終えてしまっているのですが、、!
大丈夫です。
非認知能力は、人生の早い時期~低学年に身に付きやすいですが、いつからでも身につけることができるといわれています。
自分達の成功を信じてくれる大人、思いやりと敬意を込めて関心を向けてくれる大人から正しいメッセージを受け取れば、彼らは教室に欠かさず来るようになり、難しい作業にも粘り強く取り組み、学校生活の中で数えきれないほど起こる小さな挫折や不満から素早く立ち直れるようになる。
『私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む (Japanese Edition)』
(ポール・タフ著)
アメリカ社会が抱える問題として、質の良い教師の不足がこの著書でも取り上げられています。
日本だけではなく、グローバルな課題となっているのですね。
③私が大切にしたい、日本の算数の面白さ
著書の中で、アメリカと日本の算数の授業が比較されて述べられている箇所がありました。
結論、アメリカは効率重視でつまらないもの、日本は非効率的なプロセスを経て、生徒が新しいアプローチを見出すことが出来るもの、となっているそうです。
この本を読んで初めて、アメリカの算数の教え方を知りましたが、確かに効率的で反復練習ばかり行い、精度を高めていけるものでしょうが、つまらない算数を解かされているのは残念です。
中学受験の算数を長年担当している私も、もちろん算数が好きで、我が子や生徒にもその楽しさを味わってもらいたいという気持ちは最初から変わりません。
単純な計算問題の中にも出題者の意図を感じ取ったり、一つの問題への様々なアプローチの仕方を生徒に考えてもらい、人生観につなげていくロマンを感じながら解いています(笑)。
今でも、日本の学校での授業は、生徒主体で考えを進め、皆で意見を出し合って、時にイライラしたり途方に暮れたりしながら正しい答えを導いていくというプロセスが重視されていて、これは個人的にはグリットを強くする良い形態だと思っています。
④グリットは失敗を通して手に入れるしかない
2020年3月、株式会社イー・ラーニングが行った保護者アンケートでは、20代から50代の約8割が子供の将来に不安を抱えており、このうちの7割がこの変化の多い時代を生き抜けるのか不安であるという結果が出ています。
また、不安を解消するために対策を行っていますか、という問では「習い事に通わせている」、「インターネットなどを通じた学びをおこなっている」、「子どもと将来について話している」という答えが目立っています。
GDPや賃金が上がらない日本の将来に不安を抱え、少しでも良い会社に就職できるように、失敗のないようにと、子供を早くから大学付きの私立中学へ通わせ安心したい親が増えるのも仕方のないことに思います。

まさに、塾や中学受験は不安産業ですよね〜。
しかし、成功に必要なグリットを高めるためには、失敗を重ねる経験が大事になってくるというのです。
若者の気質を育てる最良の方法は、深刻に、ほんとうに失敗する可能性のある物事をやらせてみることなのだ。ビジネスの分野であれ、スポーツや芸術の分野であれ、リスクの高い場所で努力をすれば、リスクの低い場所にいるよりも大きな挫折を経験する可能性が高くなる。しかし独創的な本物の成功を達成する可能性もまた高くなる。
『成功する子 失敗する子 何が「その後の人生」を決めるのか (Japanese Edition)』
(ポール・タフ著)
私は、私たち親が、大人が、知らず知らずのうちに、子供の挑戦する大切な機会(失敗の経験)を奪っていってるのではないかと心配しています。
学校では早くから塾で先取り学習をしている子が、手を上げ、発言し、正解を言うのが当たり前。
経験の浅く、他の業務に忙殺される新米教師もその方が授業が進めやすいかもしれません。
受験では不合格を避けるために、自分の実力より少し下のランクを受けて、合格を確実にしていく風潮。
その方が塾として、生徒の合格率を上げ、保護者からの評価も下がることが避けられるかもしれません。
このような保守的で安心・安全な風潮で、失敗なく高学歴を得た社会人が、いざ仕事の現場に出るとなると人間関係が上手くいかないという、高学歴あるある。
直近、私の回りでも、その様な状況から不安障害を発症された人がいます。
「可愛い子には旅をさせよ」という古くからの言い回しがありますよね。
本当に人生の大事な時に、ここ一番の勝負に出れる強さを手に入れるために、少なくとも小学生までの間は、失敗を自分でなんとかする力を身につけ、生徒たちの現在の能力をほんの少し超える課題に挑戦していってもらいたいと強く思います。

トライ&エラーのめげない精神力こそが、この変化の激しい世の中を柔軟に生き抜くために一番必要な要素だね。
粘り強さこそ、受験で勝ち取るのに必要な力ともいえるしね。
⑤子供に見せる背中を意識して
最後に、私が昔から思う最強のメンタルを作る最良の方法として、
大人が楽しく暮らすこと!
を提唱させてください(笑)。
あながち、間違っていないと思っていまして、ライフコーチのボーク重子さんも、非認知能力の育て方について、
自分のアイデンティティーを確立したうえで、親という役割を付け加える。
親が心から打ち込めることを見つけて、夢に向かって邁進している姿を見せることが大事。
とおっしゃっています。
教育者として、指導者として、子供を導く上でまず自分が自分の人生に満足していなければ子供の未来を良い方向に持っていけることは難しいように思います。
・娘が幼稚園の頃に、なりたいものは幼稚園の先生。
・うどんが好きだから、うどん屋さんになりたい。
・小学校に上がると、学校の先生になりたい。
・飛行機に乗ると、飛行機のお姉さんのお仕事をしてみたい。
子供は周りの大人をよく見ている事に気付かされます。
その一番身近な、最も大きなインフルエンサーである親が、まず自分のやりたい事に打ち込み、やり遂げる姿を見せる、ということが最も手軽に成功に導けるやり方なのではないかと思っています。
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